Book

Bookcafe days でご用意している本は、ほとんどが子どもに向けてつくられた本です。
そして新品ではない、古書が中心です。

絵本や児童書と呼ばれる本のなかには、おとなの人にも読んでもらいたい作品がたくさんあります。
表紙から始まる物語、ページを開くたびに出会える美しい絵、こころに響く言葉。
絵本の世界でしか表現できないものもあります。
わたし自身、絵本や子ども向けの本のすばらしさを知ったのはおとなになってからでした。子どもたちの豊かな感性に響くものは、必ずおとなたちの感情も動かしてくれると思っています。
人との出会いと同じように、本との出会いも一期一会。偶然手に取った本が、お気に入りの1冊になったなら、そんな幸せなことはないですね。
すてきな本との出会いの一助を担えたなら、それはわたしたちにとっても大きな喜びです。

本について、本を取り巻く環境について

子どものころから「本」に接してきた立場として、思うことはいろいろありますが、
とりわけ「絵本」については商業主義であってはならない、そう思っています。
文化財が保護されるように、良い絵本もできることなら保護されてほしいと思うのです。

話題になってたくさん売れることは、いいことかもしれません。
けれど、必ずしもその絵本が多くのひとのこころに響いているとは限りません。

日々お客様と接するなかで、絵本についての思い出をお聞きする機会がたくさんありました。
お客様ひとりひとりの宝物と言ってもいいような、素敵なエピソードばかりです。
その絵本を1冊も取りこぼすことなく、わたしはこころにとめておくようにしています。
それはわたしにとっても宝物となるからです。

そしてそれらの絵本はやはり、多くの方にお勧めしたい絵本と重なるのです。
一過性に過ぎない話題とは無縁の、素晴らしい絵本たちなのです。
たくさん売れないからという理由でそれらのタイトルが消えていくことは
何よりも悲しく、残念なことです。

行政や公共機関でできないことを、少しでも前に進めるために
Bookcafe days がオープン時から思い続けてきたことを、
少しでもみなさんに知っていただきたい。
日本の出版事情を、現実を、問題点を
とにかく知っていただくことが、前に進むための一歩と考えます。

子どものころに読んだ絵本が、いつになってもこころの片隅に残り、
生きていくための糧になるということを、
お客様からの貴重なお話によって実感、確信できました。
それこそがBookcafe days の歩みがもたらしてくれた
何にも代えがたい大切なことなのです。